最近Windows11で必須となったために注目を浴びているTPMモジュールですが、実はこのTPMモジュールはLPCというISAバスに互換性がある接続方法を採用しているのです。
大昔にISAバスという接続でパソコンが接続されていたときがあり、Windowsの前のパソコンはそれで多くのカードを接続していました。しかし、新しくなるにつれてだんだんと採用が減っていき、ISAバス専用の古いゲームは正常に動かなくなっていきました。
LPCは古いISAバスを置き換えるインターフェースなのですが、内部専用として扱われていたためにパーツを加える事は難しくなっていました。なのでISAと互換性があるとはいえ実際にカードを接続する事はできませんでした。
しかしセキュリティ意識の高まりによりLPCで繋がれるTPMコネクターが装備されるようになると、このコネクターはLPCバスを外部に露出するものであることが分かったのです。fooneさんのツイートによると最低限の信号線とクロック、電源が露出している事が分かります。
ISAバスを置き換えるだけあって、規格上では様々なインターフェースをサポートしています。パラレルポート、シリアルポート、古いオーディオカードのSoundBlaster、MIDIポート、ゲームポートなどに対応しているのですが、現在のパソコンではせいぜいマウスとキーボード、シリアルポート程度しか使用していません。
幸いLPC-to-ISAの変換チップはいくつか存在し、Winbond W83626FやFintek F85226Aが今でも入手できるようです。あとは基盤を設計してアダプタを付けるだけで使えるようになるかと思いきや、そう簡単にはいきません。
LPCにはオプションで高速通信用のLDRQピンがあり、これをゲームなどで音声再生のときに使うのですがTPMコネクターには露出していない場合が多いようです。この場合、LPCのピンを特定して半田付けする必要が生まれてきそうです。
変換チップではないものの、LPC用のパラレルポートICを接続した人はいます。自作した人はいませんが、業務用のマザーボードであるPortwell RUBY-9719VG2ARではFintek F85226FGを使っていて、SoundBlasterで音声が出力できているとのことなので方法さえ確立すれば使えるようです。
(追記:23/04/14)
実際に上記のICを使って接続してみた人が現れたようです。
RasteriさんのdISAppointmentという基板で実際にDOSゲームを音付きで動かせるようです。実際のFM音源で作曲をするのに使えるかもしれませんね。
ただ、TPMヘッダの形式はいくつかのタイプがあり、場合によってはマザーボードへのはんだ付けが必要であったり、最新のIntelのチップセットには対応していなかったりするようです。