Wise Cx0をパソコンとして使う

先日シンクライアントのWise Cx0を手に入れたのでOSを入れたりしてみようと思います。
この端末は一時期大量に流れていたようで、どこかの企業のリース落ちかと思われます。

スペック

CPU: VIA Eden 1Ghz (VIA C7のパッケージ違い)
RAM: DDR2 512MBもしくは1GB(PC2-6400) 1スロット、最大2GB
ストレージ: IDE44ピン 128MBもしくは1GB
OS: Wyse Thin OSもしくはWindows XP Embedded

以下はPC Watchの記事を参考にしました。
チップセット: VIA VX855
GPU: Chrome9 HCM(VRAM ~256MB, DirectX 9, H.264再生支援)
サウンド: VT1702S(24bit, 192kHz, ステレオ入力)
LAN: VT6122

Cx0はシリーズ名であり、xの数字により構成が変化するようです。
中古のCx0はほとんどがC10LE(メモリ512MB, ストレージ128MB)だと思います。
ディスプレイ端子はDVIですが安価な変換アダプタを使うとHDMIのディスプレイにも繋げます。

OSの導入(と増設)

入手したCx0はフォーマット済みだったので新しくOSを入れないと使えません。
ストレージが128MBしかないのですが、幸いにもUSBブートが可能になっています。
また、BIOSのパスワードは”Fireport”のようです。

Linux(USBメモリx2)

1つのUSBメモリにUNetbootinなどで起動メディアを作成し、もう一つのUSBにLinuxをインストールする方法です。基本的に普通のパソコンと同じですが、GPUドライバーが問題となります。

DebianではVX855向けにOpenChromeドライバーが提供されています。そのサポートリストを見てもらうと、VX855では3D機能と再生支援が使えないことがわかります。2Dは使えるのでデスクトップ環境は使えると思いますが、ゲームや動画の視聴は出来ないと考えたほうがいいでしょう。

OpenChromeとは別にVia Linux Portalで公式からもドライバーが提供されていますが、Ubuntu 12限定のサポートでバグも多いようです。試していないのですが、どうしてもLinuxで使いたいという場合はこれで3D機能も使えるはずです。READMEによるとXvを利用した再生支援も使えるようです。
Ubuntuではaptを使ってソフトウェアをインストールするのですが、古いリリースのためアップデートしなければいけません。aptのパッケージにアーカイブが存在するのは12.04のため、Mesa 8.1を使いたい人以外はバージョンは12.04が良いと思います。その場合、/etc/apt/sources.listの中のhttp://.ubuntu.comの間をold-releasesで置き換えてください。その後にsudo apt-get install firefoxでFirefox 52にアップデートできます。

ここまで書いたのですが、Ubuntu 12.04は実機ではインストール画面で画面が砂嵐のようになってしまうため、Lubuntu 12.04 Alternateでテキストインストールをして導入しました。インストールスクリプトを実行した後にxorg.confをDVI-1以外をコメントアウトするように書き換えてようやく画面が出せたのですが、GLのドライバーはあれど非常に遅く、再生支援も効いていないような状態でした。詳しい説明がないためどのように使うかはまだ分かりません。ただ、メモリ512MBでも動きそうなのはLubuntuぐらいしかないと思います。

Compiz on Slackware with VIA Chrome9!!!によると以下の二行をxorg.confに追記する必要があるようです。

Section "DRI"
Mode 0666
EndSection

Section "Extensions"
Option "Composite" "enable"
EndSection

ちなみに、128MBのストレージにインストールしたい場合、FrugalインストールのDamn Small LinuxかTiny Core Linuxしか選択肢はありません。どちらもGPUドライバーが入らないのでUSBスティックがない時のお試し程度に考えておいてください。

Windows 7(2GBのメモリ、USBメモリ)

Windowsを使いたい場合、RAMが絶対的に不足してしまうのでケースを開けて増設する必要があります。こちらの動画を参考にしてネジを外して、4箇所にあるツメをマイナスドライバーで浮かせて蓋を取り外し、512MBのメモリを2GBのものに交換します。メモリの規格が異なると認識しないようで、手元にあった中ではPC2-5300のものしか受け付けてくれませんでした。

Windows7 EnterpriseでははWindows To Goという機能がありUSBメモリにインストールすることができます。一般のエディションでは使えないのですが、WinToUSBというソフトを使用することで普通のインストールディスクからUSBにインストールすることができます。

使い方はインストールしたらガイドが出てくるのでそれに従うだけなのですが、ISOからインストールする場合はデスクトップに置くこと(それ以外だと失敗します)、なるべく高速なUSBメモリを使うことの2点だけ注意してください。完了したらそれを差して起動するとセットアップが始まります。オーディオ、GPUドライバーは自動では入らないのでVIAのポータルサイトからダウンロードしてください。

インストールされているWindows7はRTMなので、まずSP1にアップデートします。RAMが1GBだとここでメモリ不足になってしまうため、RAMは2GB以上をお勧めします。
SP1は既にマイクロソフトのページから削除されているのでKB976932をWindows Updateから取得します。これによりWindows Updateが利用できるようになるので、様々なアプリを使えるようになります。

Windows7でも2GBのRAMは厳しいので、ブラウザはMypalK-Meleonを入れておくことをおすすめします。特にRAMが1GBの時はK-Meleonがないとインターネットにアクセスできません。それでもメモリが厳しい時はBIOSでVRAMを64MBまで減らすことでシステムメモリを少しだけ多くできます。ただし、Aeroは使えません。

Windows XP(フラッシュストレージ2GB、USBメモリ)

Windows XPの場合はメモリが512MBでも大丈夫ですがUSBにインストールできません。44ピンのストレージを別に買うことになります。オークションとかでも出ているのですが、数が少ないだけあって2GBで1000円程度と高いです。また、他への転用も利かないので不便でもあります。
しかし、こちらの場合はUSBに何か刺す必要がなく性能的にも適しているので使いたいソフトがXPで動けば選択肢の一つになると思います。インストールはRufusなどでUSBのインストールメディアを作るかUSB接続のCDドライブを使い、通常通り行います。

他のWindows

他のWindowsはチップセットやGPU、オーディオのドライバが無いため実用的ではありません。ちなみに、PC Watchの記事によるとWindows95はCDからのインストールで128MB内にギリギリ入るそうです。

MS-DOS(USBメモリ)

昔のDOSを入れることもできます。この場合128MB内に収まるのでUSBメモリにFreeDOSを入れてインストールします。
残念ながらドライバが無いためオーディオ出力は使えないのですが、それ以外の用途(ゲームとか)には使えるはずです。またビープ音は内臓のスピーカーから出るのでその機能が使えるゲームがあれば音も出ます。レトロゲーム用に使うならば最良の選択肢かもしれません。
ネットワークはポータルサイトでOther→DOSと進むとドライバが存在するので使えると思われますが、どうやって使うのかは分かりません。
特殊なモードを利用してIntel HDオーディオを実装したMpxplayそれを応用したゲームもあるようですが、試していません。

まとめ

再生支援については、XPではメディアプレイヤーで支援が効くようです。Ubuntuではわかりません。
個人的にはWindows7をおすすめします。DDR2のメモリは安いですし、ファンレスなので実用にもなりそうです。

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