注射が嫌いです。
小さいころ
思い出してみれば、小さいころから注射は最も嫌いなもののひとつでした。予防注射は小学生低学年の時に泣いて行ったきり、あらゆる種類の注射は全力で避けてきました。なので成人するまで献血はおろか採血も行ったことがありませんでした。
新型コロナワクチン
受けた理由
事情が変わってきたのは新型コロナウイルスが蔓延した際のワクチン接種です。2021年ごろだったと思いますが、当時は各種補助金や親族の圧、テレビCMなどで受けないと何かと損をするような感じになっていた(ワクチンの効果に異論はなかったのですが)ため、意を決して接種を行うことに決めました。
8月ごろにワクチン接種券を使い近くの医院で接種の予約を行い、2週間後の枠を取ることができました。
接種日まで
自ら予約したにもかかわらず、この2週間は絶望的な気持ちでした。毎朝起きれば注射の場面を想像し、その度にストレスを感じていました。1週間前になると常に考えているような状態になりかなりメンタルがやられていました。
当日
医院へ行き、受付を済ませます。この時点で動悸がかなりしていたのですが、耐えて20分後ぐらいについに部屋の中へ呼ばれます。震えたまま「あの、注射が怖いので……」と言うもその先の言葉が続かず黙っていると、医師は「ああ(笑)」と半笑いで準備を始めました。
実際の注射は看護師が行うようで、別室に移ることになりました。針とトレーの金属音、特有の匂い、そして微妙な間のどれもが不安な気持ちを増幅させます。
もちろんその間も震えているわけで、看護師もそれを察知して横になることを提案したり「チクっとする程度ですよ~」「すぐ終わりますからね」などどこかで聞いたような言葉を投げかけてきます。そんなことではパニック状態は落ち着かず結局抑えられながら行う羽目になってしまいました。
行っている最中は「針の感触が気持ち悪い」「早く終わってくれ」としか考えていませんでした。看護師は意識をそらそうと矢継ぎ早に質問をしてきますが、むしろ声のする方向(注射されている場所)に意識が行き大した救いにはなりませんでした。
とにかく終わり、待合室で待機している間は体力を使い果たし呆然としていました。何はともあれ、終わったのです。
2回目
さて、2回打たないとほとんど効果がなくなる…の様な言説を受けてその後2回目のワクチン接種を行うこととしました。当然前回と同じような状態に陥るわけですが、今回の方が軽かったような気がします。それでも診察室に入ると震えが止まらなくなり、接種中のストレスはほとんど変わらなかった気がしますが。
対処法
自分は注射恐怖症と診断されたわけではないですが、ほとんどそれに近い状況だと思っています。
その注射恐怖症の対処法は、なんと基本的には避けるか慣れるしかありません。
CDCのNeedle Phobiaのページでは成人男性の4人に1人が注射恐怖を持っていて、10人に1人が新型コロナウイルスのワクチン接種を遅らせていたかもしれないしています。そして、MSDではこのような限局性恐怖症に対しては曝露療法もしくは薬物(抗不安剤)が有効であるとしています。抗不安剤は根本的な治療にはならないと思われる上、「曝露療法は,…ほぼ全例で限局性恐怖症に必要となる唯一の治療法である。」としていることからそのシチュエーションに遭遇して慣れるのがよいという事になります。
これでは本末転倒な気がするので、自分なりの対策法を考えてみました。
前
何度注射のことを考えても痛みが減るわけではありません。当日までは趣味や勉強、仕事などほかのことに熱中して少しでもそれについて考える時間を減らします。なるべく頭を使うものがいいでしょう。
また、いざとなったら医者に説明をして注射を回避できるという思考を持ち、逃げ道を作っておくのもいいと思います。
当日
医院に行って準備が始まるまではもうどうしようもできません。不安であることを伝えるとベッドで寝て行うか聞かれるかもしれませんがそれで平気になるようならばこの文は読まなくても大丈夫なはずです。
ただ、準備中に「刺す直前になったらいったん心を落ち着けるために『はい』と言うまで待ってほしい」といい、目をつぶり深呼吸をしてから「はい」と言い刺してもらうのがいい気がしています。「今刺されるかも」という不安を極限まで減らすための戦法です。あまり変わらない気もしますが。
さて、実際に健康診断の場に来て採血の椅子に座ると、上記のことを実践しようにも緊張していてほとんど意味がありませんでした。されている最中は痛みは一瞬で少しだったものの、刺されている不快感は割と長く続きました。本当に何とも言いようのない不快感でした…。
その後も何か痛むと思ったら翌日派手に内出血を起こしており、微妙でした。
言い訳。
最後に言い訳をさせてください。
注射恐怖症は他の恐怖症と違って、ほぼ確実に痛いことが保障されているわけです。
その方法も「血管に針を入れて、血を抜き取る」という中世の拷問のようなものです。
しかもチクっとする程度なんていうのは大嘘で、実際は
っぢ~~~~~(数十秒)~~~~~っくーーー……
といった感じに痛みと不快感が続きます。針先が神経に触れた場合はさらに痛くなります。
痛みのみならず、体内に針が入っていく、そして入っている時の言葉では言い表せない感覚もなんとも不快です。むしろこっちが注射恐怖の元かもしれません。
これはもう「恐怖症」とかではなく、正当に恐怖すべき対象であると考えています。