Raspberry PiはUSBに繋ぐだけで使えてとてもいいのですが、電池やその他の電源から動かそうとすると気になることがあります。それは、入力電圧の範囲と消費電力です。
今回はそれを調べてみました。
電圧
Raspberry Piは3.3V、2.5V、1.8Vの電圧で動いています。それに対してUSBは5Vなので、どこかで電圧を下げる必要があります。
Raspberry Pi A/B
A/Bの頃はリニアレギュレータという部品で電圧を下げていました。回路図によると3.3Vと1.8VはNCP1117で、2.5VはLP2980で電圧を落としている事が分かります。この3つの部品のスペックから考えると、最低電圧は4.75V、最高は10Vになります。
しかし、10Vというのは部品の設計上の上限であり、後述しますが3.3Vにすると効率が悪くなり発熱も大きなものになるためやめた方が良いでしょう。また、4.75Vというのも最大値であり、通常時はもっと小さくて済みます。以上のことを考えると最低4.3V、最高6V程度が良いと思います。
Raspberry Pi A+/B+/2/3B/Zero/ZeroW
A+/B+以降は効率の良いスイッチングレギュレータという部品で電圧を下げています。A+/B+/2/3B/Zero/ZeroWはPAM2306とRT8088を使用しており、入力範囲は2.5Vから5.5Vまでとされています。電圧を上げてはくれないので、実際には3.6Vが下限になるでしょう。また、スイッチングレギュレータは最大電圧に敏感なので実際には5V程度が最大になるでしょう。
Raspberry Pi 3B+/4B
3B+/4BはMxL7704を使用しています。こちらは最低4.0Vから最高5.5Vなので更に範囲が狭まっています。また消費電力も上がっているので、5V給電以外の可能性は少なそうです。
電流
RasPi.TVもしくはRaspberry Pi Drambleさんのページに良くまとまっています。
Zeroの消費電力の少なさが印象的です。4BですらAtomと同程度しか電力を消費しません。
A/Bで使われているリニアレギュレータは安く安定している代わりに、電圧の差を熱に変換して空気中に逃がす事で3.3Vにしているため効率が悪いという欠点があります。また電圧の差が大きいほど熱が大きくなり、ヒートシンク無しではすぐに部品が焼損してしまいます。
限界を超える
最低電圧の壁を越えるには、部品を介さずに3.3Vピンに直接3.3Vを流す方法があります。A/Bに限らず3Bでも使えるようですが、1.8Vなどがどうなっているかは分かりません。Aでは3V近くまで下げる事が出来るようです。ただし3.3Vは絶対に超えないようにしたほうがいいでしょう。
A+/B+/Zero/ZeroWでは消費電力が少ないため5Vピンに3.3Vを直接入力しても動くと思います。
最高電圧は、A/Bならばヒートシンクをリニアレギュレータに付ける事で10Vまで使えるようになるはずです。それ以外は素直に外付けのスイッチングレギュレータ(こういうの)を付けた方がいいでしょう。
電流に関しては、電源/アクセス/LANのLEDをオフにすると十数mA節約できるようです。3/4はここ、Zero/Wはここ、それ以外はここを参考にしてください。
また、一部のUSBデバイスは3.3Vでも動作するようですが、5V以外で動かすときはUSBは使えないと思っておいてください。
電池駆動
Raspberry Piの省電力性を生かして電池駆動させる場合、単三電池2本で2時間程度動作させることが出来るようです。Zeroであれば電池の容量表を元にすると、単三電池3本で4.5Vを作りそれで動かす事で10時間程度動かす事が出来るようです。
いちいち電池を使い捨てるのはもったいないので太陽光パネルと組み合わせて充電式にするのが現実的なのではないでしょうか。2012年にもRaspberry Pi Bで太陽光FTPサーバーを作った記事がありましたが、ZeroWを使えば更に小型化出来そうな気がします。
普通のサイズならPiJuice SolarというHATで実現できそうです。